最近、スマホ脳という言葉が、多く聞かれるようになりました。
常時インターネット接続時代ですから、常に着信やSNSメッセージがスマホに飛び込んで来て、注意がそこに向かうために、集中力が続かない、このことが科学者からデータを伴って報告されるようになってきました。

デッサンオンデマンドは通信制ですので、側にいて、デッサンを見ながら指導しているわけではありません。だから、皆さんがどういう環境で練習しているか分かっていないのです。以前、簡単な練習がなかなか出来ない人がいらしたので、その理由を色々お聞きしていたのですが、どうもはっきりしない。今は、スマホを片時も放さず生活している人はザラですので、もしかしたらデッサンをしている時に、スマホによって集中力が削がれていることが、原因の一つではないか?と思い至ったわけです。

かといって、スマホをどうするかは、皆さんの自由意志ですし、ここで科学の話もするのも分野違い、ご専門の方にお任せいたします。ここでは、デッサンには集中力が必要であり、それが観察力という大切なものに関わっていることを説明したいと思います。

集中力→観察力

絵は、見ることを重んじる文化です。
デッサンも、ご自身が、見て描くものです。見て、感じることが、描くことの出発点になります。それは、自分が見て、感じなければ、描けないということでもあります。

更に言えば、ここがもっと明るいな~とか(明暗)、ここがもっと短いな~(形)とか、違いが分かって来ないと、デッサンのプロセスは踏めません。それには、良く比較して、違いを見定めることが必要になります。じっくり集中して見ること=観察することが、デッサンには不可欠なのです。ここがもっと明るいな~とか(明暗)、ここがもっと短いな~(形)とか思っていたところで、側でピロリン!と音がしてそっちを見たら、モチーフを見て感じたことはわからなくなります。それは、せっかく絵が上手くなりたいと思って練習しているのに、とても残念なことです。

形はどうか?光はどうか?質はどうか?空間はどうか?イメージはどうか?このように多くのことを観察し掴み取って行くこと、それが線や塗りとして表していくことが、上手く描けるようになるということです。これは、情報をどれだけ多く受け取ることが出来るか?それをどのように組み立てることが出来るか?ということと似ていると思いますので、理系分野やビジネスとも比較して考えやすいかも知れません。じっくり見る=観察することは、デッサンの初動です。デッサンの初動のために、集中することが必要です。

集団で絵を習う環境では、スマホを見ながら描く人は皆無だと思いますが、通信制ではご自身の裁量に委ねられることが多いと思います。環境次第で、デッサンの上達は大きく左右されると思われますので、通信制では特に、皆さん自身で環境を整えていただきたいのです。デッサンオンデマンドは参考作例を提供していますが、ご自分が描いている時に「ながら」で参考作例を見ることもお勧めは出来ません。ご自身が集中してモチーフを見ることを優先して下さい。参考作例は、描く前の予習か、描き上げた後の復習のために、お役立ていただければと思います。

デッサンのために、集中できる環境を整えていただくよう、お願いいたします。