デッサン初心者の方は、希望と絶望の繰り返し

初心者は「あんなこと、こんなことしたい!」とか期待に胸を膨らませています。「絶対出来る、俺すごい(はず)!」とか、自分は何でも出来ると思っている人もいます。反面、実際デッサンを行ってみると「全然描けないや。」とそのギャップに愕然とし、「才能無いのかも、、」とか「こいつの教え方が悪いんだ。」とかマイナス感情に苛まれたり。

経験が無い、つまり何が出来るか判らないのだから仕方の無いことなのです。やりたい事と、出来る事のギャップが開いているのだから当然なのです。けれども、しんどいものです。自意識が高いということは、それだけモティベーションも高いということでもあります。私も中学生の頃「巨匠ノート」とか書いていました。笑っちゃいますよね。その分、しんどくなります。

かつて教室には、プロ志望の方が30人ほどいらっしゃったのですが、7割ぐらいが直ぐに姿を消しました。私は「もう、あきらめたの!」とびっくりしました(別に、プロは厳しいとか説教したわけではありませんよ!)。Easy come,easy go,と言ってしまえばそれまでなのですが、皆さんが続かなかったことと、デッサンのリアリティーを認識していなかったことは、大いに関係があるかと思っています。ですから、最初に申し上げます。

デッサン力とは、自分で判断して、比較して、改良していく力です。前段階を変えていく、直して後段階へ、更にその次の段階へと、繰り返していくものです。間違いや失敗と捉えず、受け止め、どうすればいいか考えるのです。なかなかに、クールで厳しいところはあります。だから、それほど簡単なものでも、楽なものでもありません。

もちろん、最初から出来る人はいませんから、指導を受けるわけですが、描き手ご本人の基準、比較力、判断力、想像力が肝心です。習う側も、指導する側も、自覚をうながしていかなければならないから、難しいところがあります。お互いの共感や探りあい、とんでもない失敗や、手を動かしまくってやっと気付いたという具合に、希望と絶望が交錯する激しいステージはあります。そもそも信頼関係が必要です。結果、デッサンオンデマンドのアンケートが、めんどうくさいものになった訳です。

デッサンが厳しいところがあるため、デッサンのリアリティーを伝える状況も厳しくなっています。世の中、特にネットは、目立つ事、良い事に溢れ、ネオンきらびやかな夜の町のような様相ですから、内容を判別できない方は抗いがたいかと思います。そもそもキャッチ・セールスなのです。ただ美術としては、これは「焼け野原」にならないか?と危惧しています。描き手の身体を置き去りにしているからです。そもそも描き手主体が、創造の根幹だからです。

厳しいから、役に立つということもあると思います。甘言流言に惑わされない、ステイ・クールという視点です。セールスマンだけでなく、大企業や政治家を含め、最初は良いことばかり言うのですが、都合の悪いことは後からこっそり出してきます。少々脱線しました。