経験を積まない内は、デッサンが出来なくても仕方がありません。
でも、、、。
出来ないところを、人に見せるのは恥ずかしいとか、
出来ないところを、人に見せるのはプライドが許さない、という心理は強烈です。
そして、自分を出さないように振る舞う方が、たくさんいらっしゃいます。

「上手くならないと描かない」VS「描かないと上手くならない」
心の中で、これらが強烈にせめぎ合っているようです。
「生活改善したくないけれど痩せたい」VS「生活改善しないと痩せない」
と似ています。軍配は「描かないと上手くならない」「生活改善しないと痩せない」に上がるのは明らかなのですが、、、。

上手くなるということは?

上手くなるということは、出来ないところを出来るようにすること。
出来るようになるためには、出来ないところを、まずは認めないことには仕方がありません。
それが、なかなか認められないんです、、、。
では、次はどうするかというと、出来ないことを正当化します。出来ない理由が自分以外にある、人のせいで出来ないということにします。遠ざければ遠ざけるほど、向き合うことが嫌になっていきます。

更に、そういう方同士は、褒め合います。褒めること自体に、反対しているわけではありませんが、出来ることも出来ないことも、バランスよく受け止められる方が良いと思います。褒めることばかりだと、失敗した時の挫折感が逆に大きくなったり、万能感に陥ったり、回避する心理も強くなると思います。

自分を出さない→出来ないことを認めない、という実経験をお話しして来ました。
これは現場では、とてもある!ある!な話で、たわいのない話と思われるかもしれません。
しかし、デッサンを習うという観点では、不適合です。
出来ないことからどんどん遠ざかっていくことは、リアルから遠ざかって行くこと。それはデッサンの目的から遠ざかって行くことと同じだからです。このような方々は、上手くなることもありませんでしたが、そもそも上手くなりたかったのかどうか、私にはわかりません。

これから絵を始められる方に、気を付けていただきたいことがあります。
自分が、自分のために描くという主体性と、正直さです。絵を描くことが、自分にとって楽しいことであり、デッサンが上達することが、自分の絵にとって大切なものであることは、はっきりさせておきましょう。実に当たり前のようですが、プライドの方が強くなると、リアルは直ぐに逸れていってしまうのです。