熱血!デッサン塾での経験ですが、かなりの頻度で、デッサン初心者の方が画用紙にデッサンを描いてきます。どうして画用紙に描くのか?背景はわかりませんが、画用紙という慣れ親しんでいる画材は、実はデッサン初心者の方には不向きです。

画用紙は、デッサン初心者には不向き

なぜ、画用紙がデッサン初心者に不向きかというと、表面が凸凹しているからです。
凸にだけ鉛筆が乗ってしまい、質感が全部ザラザラしたものになります。ガラスや金属などシャープでつるつるしたモチーフも、ザラザラした質感になってしまう。質感コントロールは、形、明暗が描けるようになってから、少しづつ描くことが出来るようになるもので、デッサン技術では中レベル以上となります。質感コントロールが出来ないうちは、デッサンを描く紙としては、画用紙は不向きかと思います。

デッサン用紙で一般的なのは、ケント紙です。鉛筆が線的画材なので、ツルツルな紙の方が線が活かされやすく、相性がいいようです。練習には、クロッキー帳やコピー紙も平滑な紙ですが、薄いため皺が寄りやすいこと、下敷きの影響も受けやすいことなど、注意が必要です。

画材の相性、自分との相性

描く材料と、描かれる材料には、一般的な組み合わせがあります。
木炭デッサン紙は厚手で、木炭が吸着しやすいよう凸凹や横方向の溝があり、木炭を擦り込んだり、上に重ねたり出来ます。キャンバスの布は、油絵具の物質感を生かすため、耐圧性と防浸性があり、布目の凹凸は絵の具が良く付き、塗り重ねの表情が出やすい特性があります。

ほんの一例ですが、描画材料にはそれぞれを生かしあう相性があり、伝統的な組み合わせがあります。何に描くか?ということは、とても大切な視点であり、作品の完成度が大きく変わりますので、初心者の方は、まず伝統的な組み合わせに則るのが無難です。

しかし、ある程度経験が積めたら、自分に合った素材を求めて色々な素材に触れ、時間を掛けて自分に合った素材を選んでいく、これは楽しい体験になるはずです。素材に関しては触覚、つまり実際触ったり描いたりを通して、素材感覚が研ぎ澄まされてきますので、少々時間がかかるかも知れませんが(実際使ってみないと分からない。)、自分探しの冒険のようなものです。

作家はそれぞれに個性があり、考え方や描き方だけではなく、素材選びや加工方法にも個性があります。デッサン初心者に不向きだと申し上げた画用紙に関しても、独自のテクニックを使って質感の描き分けを行い、魅力的な画風を作っている作家もいます。画材同士の相性もありますが、作り手と画材の相性も探って行くことは、とても大切なことです。自分基準で、好き嫌いや相性を、素材を選んで行っても良いと思います。