結局、描くということは、目で見て判断して、手で描画道具を使いこなして、自分のイメージ通りの線や塗りを実現するということになると思います。そこまでは、手描きでなくても、デジタル機器の描画でも変わらない事実です。

ただ、手描きにこだわる理由としては、アナログ=心技体が通う=感覚を総動員しやすい、それも安価に身軽に出来るというものが挙げられます。また描画機器を使いこなすのにも、それなりの時間が掛かり、精度の高い機器は高価なものです。そして作品のもとになるものは結局、道具ではなく、皆様の感覚です。総合的に、紙に鉛筆で描くことが、簡単、便利で、質も高い練習が出来るからです。

コンピューターは便利ですから、その分感覚器官が怠ける、というものもあるかも知れません。描画ツールや3Dソフトなどは、拡大縮小、やり直し、レイヤー、背景の描き込みが、手描きに比べて圧倒的に便利です。しかし、例えば構図の場合、移動、拡大縮小が自由でいくらでも簡単に直せるため、構図の良し悪しの判断がどうしても甘くなります。

AIとなれば、更に便利になって、ツールの操作など単純作業の多くがAIに置き換わっていくと、予想されています。感覚器官が怠けるどころではなく、多くの仕事がAIに置き換わってなくなってしまうのですから、こうなるとAIに出来ないことを考え開発していかざるを得ません。しかしAIに出来ないことで、身近なものを挙げるとすると、それは第一に、皆様の感覚、五感です。

確かにアナログで行うとすると、不便といえば不便です。しかし不便な分、感覚が鍛えられるのですから、仕方がありません。五感を総動員して、感覚を育てること、手描きにはとても大切な役割があるのではないかと思っています。