それは、身体性を持つからです。
鉛筆を使いこなすにも、手が上手く動くことが必要です。手が上手く動くようになるには、それなりに時間が掛かります。もちろん、見ることも、見て考えることも連動しているので、時間が掛かります。
これは、道の付く芸事や武道、スポーツなど、体を使う文化全般に言えることだと思います。身体性があるからこそ、今、ここという感覚、自分自身のエモーションという持ち味もあるはずです。絵は、見ること、考えることの比重が、スポーツなどに比べて相対的に大きくなりますが、やはり身体性は欠かせません。だから、見ながら考える、描きながら考えるという、思考と身体とのバランスを取ることも必要です。
「思っていたようには描けない。」というのは、身体とのバランスを、描いて初めて自覚するということです。絵やデッサンの場合、身体性を意識せず、思考だけで判断してしまう傾向があるかもしれません。