垂直と水平、これは絵を描く時にとても大切です。
自分の目の前にある、空間と共にあるもののことで、よく似たX軸Y軸という観念的なものと区別します。

左右対称、上下対称のものを描く時は、垂直軸、水平軸を描いて、それぞれを見比べます。
また、軸を描く時は、不思議と背筋が伸び、姿勢が良くなります。そうしないと、垂直軸、水平軸は上手く引けません。じっくり見比べるときも、不思議と背筋が伸び、姿勢が良くなります。これは、自分の体も、垂直水平を意識する時には、真っすぐになっていくということなのでしょう。上手く描ける角度で描いて、画面を回す人もいるかも知れません。このような描き方は推奨できませんが、それでも見比べる時には、垂直水平を気にしながら正対しなければ、どこに違いがあって、どう直すべきか良く判断出来ないと思います。

左右対称、上下対称などのモチーフを描く場合、狂いが顕著に分かりやすいのですが、非対称のモチーフを描く場合でも、垂直軸や水平軸を引くと、軸との間隔や角度が測りやすい。更に、作品をブラッシュアップする時に、形や色や明暗などの複雑なものを検討する場合でも、真横に並べて、それぞれの垂直水平を気にしながら比較します。また、絵画の多くは垂直水平の矩形で成り立ち、壁面に展示する時は、垂直水平にします。逆に、そうなっていないと、気持ちが悪い。作品が垂直水平になっているかどうかで、展示する側は足元を見られてしまうようなこともあるかも知れませんので、気を付けた方が良さそうです。

自分の垂直水平、デッサン(絵画)の垂直水平、モチーフの垂直水平が、強く関連しているということになります。それで、垂直水平がどこから生まれているか考えてみたのですが、それは重力から生まれています。
物がそのまま落ちるのが、垂直。水が溜まった形が、水平。

「私達人間は、地面を離れては生きられない!」という有名なセリフを思い出しました。我々人間がこの姿をしているのも、重力が関係しているはずですし、それ以外のおそらくほとんど全てのものが、そのような大きな摂理の中に存在しているということになります。少々宗教的な、壮大なテーマにも思えますが、紙と鉛筆を使って、世界を再現したり、或いは表現したりしする、ささやかな世界とも共通するルールであるようです。