マンガを描いている人には、線に対するこだわりが強い傾向があるようです。そのバイアスが強い余り、線以外に意識が向かいにくく、なかなか彼女の中にデッサンの考え方が入って行きません。とうとう私は、「線を使わないで描く」という思い切った指導を、彼女にしました。

デッサン奮闘期05

ムービングクロッキー
デッサン暦12ヶ月の2009年3月。

いつまでも、線(アウトライン)でしか描けない私に、師匠は「線を使わないで描こう!」をと言いました。とうとう「線、禁止令」が発令されたのです。

はぁ?
線で描かなかったら形にならないじゃないの?
どうすればいいんだろう・・・?
混乱の中、師匠のヨガを描く、ムービングクロッキーが始まりました。
1ポーズ十数秒しかないので、わわわ~!と大急ぎで人物のシルエットを塗りながら描いていきます。

ん…?塗りながら描く?
アウトラインを線で囲むのではなく、太い線で一気にシルエット(?)を描く。
ワンストロークで腕や足ができます。
強い影が入る部分、力が入っている部分などを強い調子で入れると、なんだか強弱も付きます。

粘土細工みたいに、大まかな部分から描いていくデッサンって、こういう事?
最初に物体の色や影を描きながら、だんだん形を整えていくのか…。
なんだか突破口が見えてきたような気がした日でした。

つづく。