デッサンは写真より実物をお手本にこのイラストは内容にあまり関係ありませんが・・・写真をお手本にすると、デッサンの難易度はかなり下がります。
写真は平面だから2次元(X軸・Y軸)、実物は立体だから3次元(X軸・Y軸・Z軸)、実物は1次元分多いわけですから難しいわけです。
このZ軸(奥行き)にはパース(遠近感)が付きますし、自分が体を動かすだけでモチーフの見える角度も変わってしまう。非常に捉えにくい。

つまり、写真は立体感や空間がある程度省略されたものになっている。立体感や空間に注目して描く、ということは写真では難しい。
しかし動きのあるもの、動物や赤ちゃんなど、止まってくれと言っても聞いてはもらえないわけで、こういうモチーフだと写真のほうに利便性があります。世の中映像的な傾向がありますので(私自身もYouTube使いまくっていますが)、立体感や空間については逆に意識が向かなくなる傾向があるかも知れません。
デッサンは、出来るだけ実物を見て描くほうがよろしいかと思います。

デッサン実物を見る

日本の伝統的描き方では、立体感は省略されています。欧米絵画の歴史は、逆に光や立体感空間を表現することで出来ていました。この違いは、欧米の美術関係者にとって衝撃的だった。古くはアール・ヌーボーとして多くの画家が浮世絵の手法に影響され、現代は村上隆氏がマンガ・サブカルチャー文化を輸出しました。「スーパーフラット」論が、精神的な「ぺらぺら」感か、立体を省略した「ぺらぺら」感か、そのまた両方なのか、英文の論文にじっくり向き合って見なければ多くは語れませんけれど。

「平面化」は伝統の中にあった、日本の特質だということです。今まで当たり前だと思っていたことが、比較文化的視点で明らかになるということでもあります。「平面化」は紙面の上で立体感を省略するというものではなく、現実そのものを最初から平面的に捉えるという、画期的なものです。それがマンガになり、クールジャパンとして世界に受けた。自国自讃は結構ですが、我々はその特質をもっと研究したほうがよろしいかと思います。