デッサンオンデマンドで、どのように受験対策をしていったのかを具体的にわかっていただくために、受験レポートをまとめました。九州大学 芸術工学部 メディアデザインコースの、受験対策のこれまでを振り返りかえりました。

まずは、九州大学〇〇コースの試験内容は、
●4時間で、
●与えられたテーマに関する小論文(1000字以内)、
●紙立体制作、
●紙立体のデッサンをする、
というものです。
テーマは、試験開始時に発表になり、予測して準備していくことは、ほぼ不可能です。その場で、当意即妙に、論旨を展開し、紙立体を作って、更にそれをデッサンしなければなりません。

これは、難しいな!と思いました。半年間をしっかりデッサン基礎の勉強に当て、試験まで半年を残して、大学受験の準備を本格的に始めたのはご本人の希望でしたが、今から思えば半年の準備期間は、かなり厳しいスケジュールだったかも知れません。

これまで出題されたテーマは、「虚実」と「多様性」。テーマから何が連想されるか?まず考えました。
●虚実→フェイクニュース
●多様性→SDGs
「その年に話題になった社会問題に焦点を当てているのでは?なるほど、これは、現代社会をちゃんと考えているか?審査しようとしているな。」これには確証はありません。今年は「疎密」というテーマが出題されました。加えて、「社会における疎密とメディアの関係」と、小論文で論じる方向を指定されています。密を避けることや、情報格差、経済格差などが最近のテーマになっていることを考えると、現代社会をテーマにしている可能性は、かなり高いと思われます。

それにしても、
●テーマに沿って掘り下げ、
●面白い紙立体が作り、
●紙立体を描写し、
●自分の考察を論文化する、
これだけでも大変です。

●絵も描けて、
●良く考えられて、
●造形センスも求められる、
●今のことにガチで向き合っている、
色々な意味で、優秀な人が求められているわけです。

どのように、カリキュラムを組み立てていったか?

それぞれの課題が連動しているものですから、適当に一つだけでっち上げても、辻褄が合わなくなってしまいます。だから、総合的にバランス良く、計画的に、出来るようにならなければいけません。しかも4時間ですから、躓いている時間はない。これは、難しくも、美しく組み立てられた試験。九州大学は、難関校だと思いました。

論文、デッサン、紙立体、どこに時間を掛けるべきか?ご本人の実力から、まず考えていきました。
ニュースに触れること、ニュースから論旨を書くことは、直ぐに始めました。
モチーフを描いて、デッサン力を上げることは、半年前から続けていました。
紙を加工する方法を、初歩から始めました。

それらを同時並行に進め、
●論旨を明確にするために、何が必要か?
●テーマに沿った紙立体を作るために、何が必要か?
●どのようにアイデアを出し、一貫性を持たせるか?
というように、それぞれを連動させるように、ステップアップしていきました。

それでも半年間はあっという間でした。
順調にカリキュラムが進んだ訳ではありません。人それぞれ、得意不得意はどうしてもあります。文章を書くのは得意だと思っていても、論旨にリアリティーが無かったり、主観が入り過ぎたりしました。立体造形は経験がないせいもあって、どう組み立てれば良いか、試験寸前まで苦労していました。自分の意図を形に乗せること、それを組み合わせてテーマを表現すること、これは造形理論を理解していく必要がありましたが、ここは私もご本人もお互いに苦労した点です。

途中から、苦手意識を持ってしまって、立体については積極的に行わなくなってしまったりもしました。共通テストが今年は難しかったようです。点数が芳しくなかったので、少し諦め気分も出てきたりしました。でも真面目に、一生懸命に付いてきてくれました。そして、若い人は、本当に伸びる力があります。昨日出来なくても、今日出来るようになっていることもありました。最期まで諦めず、試験寸前まで、少しでも得点出来る可能性を探していったことが、幸いだったのかも知れません。発表日、うれしいニュースがありました。

ご本人に、試験のことを聞いてみました。
●本番は、自分一人で何とかしなければならない。
●試験会場は緊張感もあり、その場の空気に馴染むまで、手元が覚束ず思うように作業できなかった。
●どんなところをよく指摘されたかを思い出して、総復習しているような気分になった。
●本番にしかない緊張感がプレッシャーに耐える訓練にもなった。

ご本人は、試験中であっても常に向上心を持っていたということです。そういう人が、難関校に受かるという認識を改にしました。天晴でした。これからのご活躍を、陰ながら応援しております。また、この記事が、これから受験をされる方の、お役に立てば幸いです。