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屋久杉を参考にして、想像の樹のデッサンをしました。
基本的にデッサンは「モチーフを見て描く」というのが原則ですが、想像の物を描いてはダメという事ではありません。

使用画像は鉛筆、グラファイト鉛筆、クレヨン、墨です。
ダイナミックで激しいデッサン、制作過程ムービーもご覧ください。

デッサンは見て描くもの、と言うことは申し上げました。ただ、絶対そうか?と聞かれれば、そうでもない。例え見なくても、活き活きと描ければいいテーマもあります。事実、水墨画や障壁画は、実際には無い想像の景色です。

この樹のデッサンは、見て描いたものではありません。かといって、完全に想像ではありません。縄文杉という、縄文時代から生きていると言われている屋久杉の写真は、時々参考にしました。「制作テーマ」としては、「上昇するエネルギー」という感じですが、とにかく楽しく描けました。

「制作テーマ」、「コンセプト」とも言いますが、デッサンにしても作品にしても、何か思いを載せることが大切だと思います。それが、感じたことを表現する、美術の存在理由です。上手く写すこと、ノウハウを覚えるための練習というのは、幹では無く、枝葉です。

現代作家のデッサン(ドローイング)には、この樹のデッサンより激しいなものがあります。それは、抽象表現主義と言われるものです。それはパフォーマンス(行為)の痕跡でもあります。そうして現代のアートは、モチーフを(素直に)描くことから遠ざかっていった。「コンセプト」を推し進めたからか、ほとばしる内面を自由に表現したかったからか、どちらが先かは分かりません。ここでは、デッサンは単に、モチーフを観察しクールに描いていくだけのものではない、という例を示したかったのです。