不自由から自由へ 

絵は、自由に何でも描ける世界だと多くの人が思っていらっしゃるでしょう。しかし、自由な世界にも不自由があります。

漫画を描く方はすでにご存じのように、人の形を描くことは、本当に難しいことです。人の形に代表される形作る不自由、他には、体力や気力という肉体限界、画材の制約、段どりやスムースな制作過程などプロセスの問題、アイデアが他の人に伝わる温度やタイミングなどなど、多くの制約やルールがあります。作家は自ら、内容に関してそれぞれのルールを設定していくところさえあります。

デッサンでは、形、構図、光、明暗、質感、空間や立体感という明確なルールがあります。それは基礎として、無ければデッサンが成り立たないほどの大切なルールです。ルールを踏まえることが、上達するために必須と言えるでしょう。

デッサンを窮屈なもの、不自由なものと感じる向きが多いのは、このルールのためだと思われます。しかし、不自由と自由は、実は表と裏のような関係で、不自由が無ければ自由にはなれません。ルールを知らない内は、自由に描けたと思っても、直ぐ行き詰ってしまうでしょう。それは、自分だけの自由だからです。

絵には、現代絵画からマンガまで色々なジャンルとルールがあります。
それらは専門領域と言えるもので、人それぞれの方向性が定まった時に身につけていくことをお勧めします。デッサンは、伝統的に絵画造形分野の基礎として位置付けられていますが、今でも、多様な専門分野に分かれる前に、総合的にクリエティブ分野を大きく掴み、端的にルールを学習する方法と言えるでしょう。