失敗、この響きが多くの人を悩ませていると思います。

失敗をマイナスに感じるタイプは、続けることが難しくなります。人目を気にする人には、このようなタイプが多いと思いました。失敗を恥だと思って、行動抑制的になっていきます。批評は痛みとなり、作品発表すら辛くなっていきます。

失敗を楽に感じる、つまり当たり前のように思っているタイプは、続けられました。失敗しても笑い飛ばせるようなキャパシティーのある人、或いは自分を俯瞰できる人が多かったと思います。

上手く行かないことをどう捉えるか?
失敗と捉えるか、改良点と捉えるか?ここで大きく変わります。
失敗はマイナスイメージ、改良点はプラスイメージ。失敗は、結果だけを踏まえた大まかで漠然とした捉え方。改良点は、分析を行い「どこがどのように違うか?」考える理性的捉え方。
言葉だけでもこれだけ違います。

感情的なアプローチだと、失敗を乗り越える精神的強さを持とう!という根性論なので、それほど説得力を持たないと思います。やはり理性的アプローチで、分析し、判断を強化していくことが有効だと思います。(どこまでも恐れ、恥の感覚は残り続けるでしょうが、後はご自分で、理性と感情を闘わせていただくしかありません。)

まずは、デッサンを取り巻く事実を捉えていただきます。
●最初から、上手くいく人はいません。
●それなりの時間と経験を積み上げていかなければ、習得できません。
●ほかの人を参考にすると安心です。(熱血!デッサン塾も、どうぞご参考に。)
●自分が見て、考えて、描きます。しかし、自分本位の一方的な見方、考え方は、通用しません。自分の見方、捉え方は常に更新します。
●直すことが、とても大事です。トライ&エラーを繰り返すことになります。
●合理的な進め方をします。早く、上手く描けるようになります。

デッサンや絵画に関しても、研究と似ていて、一つ一つ試して、失敗したら方法を探り、自分で思いつかなかったら人に聞き、成功したら次に行く、それだけです。一々、失敗を数えるのが、あほらしくなるぐらい、当たり前になってきたら、上級者です。逆に、一々、失敗を恐れるのが、初心者です。

私がデッサンを描く場合は、ただ、良く見ようと思います。そこで感じたものを、上手く描くにはどうしたらいいか?考えます。ゆるく、アタリを取ることから始め、光、立体感、質感など、デッサン要素はその都度加えていきますが、描き進んでも、上手く行ったと思うことは、余りありません。いつも、「ここら辺は、上手く行っていないな。」というところが見つかります。最後までそれが続き、時間切れで終わります。良し!完璧だと思えたことはありません。

充実感はあるのですが、満足したとも、楽しいとも思いません。私は、デッサンについて、あまり失敗とか成功とか思わないようです。失敗はしますが、次にどうするか?に興味があるので、実は、失敗した方が楽しいかも知れません。(作品の方は楽しいと思います。)

成功や完璧にこだわる人は、人工知能のように、命令を完全にこなすような、線的なイメージをお持ちなのではないかと思います。デッサンは、関係性や繋がりを含め、ファジーなものをメタ認知で集めて、面的に整理するようなところがあります。そこでは失敗は、関係性を取り直す大きな転機となる、途中経過に過ぎません。

多くの人が、失敗=途中経過につまずいて、先に進めなくなるのは、とても残念です。