自分は普通ではありたくない、特別な存在でありたい、そう考えるのが、普通の人間だ。
ならば、自分は凡愚であると思える人間こそ、非凡な人物であるかも知れない。

日本民芸運動を起こした柳宗悦は、浄土真宗に造詣が深い。 凡愚とは、浄土真宗の思想的中核をなす文言である。 日本民芸運動に参加した作家たちは、棟方志功、芹沢銈介、河井寛次郎、浜田庄司、富本憲吉、バーナード・リーチなど、分野は違えども大作家が多い。 柳宗悦と彼らは、各地の制作場所をお互いに訪ね、対話を繰り返した。棟方志功は、浄土真宗からの影響を自伝に記述している。

黙々とひたむきに、特別なことは何も無いように、当たり前に仕事を繰り返す。その愚直ともいえる仕事から、エネルギーが溜まって爆発するように、一気に世界が開けることがある。 また自らを謙遜する人は、他の分野から刺激を受けるにも、「捉え方」を取り入れるのにも、垣根は低かったはずである。 彼らの仕事が、いわゆる日本の民芸から、3歩も4歩も抜け出して、眩いきらめきを発したのは、そのような理由があると考える。
当に、凡愚から、非凡へ。 

―祖父の蔵書よりー