これは、意義のある絵です。
原爆の記憶というテーマは、強い意義を持ちます。
写真が残っていなくても、人々の記憶には残っている、そしてその当時の気持ちまでも表すことが出来る。記憶を風化させないという目的も強いテーマになっています。絵にも色々なテーマがありますが、特別なテーマを持つ作品群です。
 
絵というものは本質的に、上手い絵ではなく、良い絵を目指すべきなのです。良いという言い方より、意味がある、意義があるという言い方の方がもっと妥当かと思います。伝えたい気持ちが強いほど、自分にとっても人にとっても、意味や意義のある絵になります。
 
絵を習いたい人は、一般的に技術向上を目指します。そして見る人も、技術の有る無しだけで、作品を判断する傾向があります。しかし原爆の絵の場合、それほど上手くない絵もあるかも知れませんが、それが問題になるでしょうか?上手くなくとも、一生懸命描いている、そして切々とその時の状況が伝わってくる、そのような絵はすごい絵なのです。
 
高校生が被爆者と経験を共有しながら絵を描いていく、広島の高校の授業は素晴らしいですね。それを経験した生徒たちは、けっして技術ばかり優先することはしないと思います。