私自身、デッサンを始めた頃は、なかなか慣れなくて苦労しました。影を付けたり、タッチを付けたり、描き方がそれまでと違い、感覚的に受け入れるのに時間がかかったことを覚えています。少しずつですが、描けなかったものが上手く「表現」出来るようになる、その達成感がうれしくて続けられたと思います。
今デッサンを勉強している皆さんに、何が上達してうれしかったか、お聞きしてみました。
「思ったとおりに形が描けるようになってきた。」
「じっくり取り組む根気が出てきた。」
「考えたり分析したりして描くようになった。」
「今まで巨匠の絵を見るたびに、信じられない技術に思えたが、今は描き方が少し想像出来るようになった。」など。
取り組み方は、それぞれが引き受けるものですから、上達するといっても紋切り型ではなく、それぞれ違います。行きつ戻りつしたり、なかなか上手くならなくても、ある日突然出来るようになったり、勢い良く伸びていた人がしばらく止まって、考えて込んでいる内、周りの見え方ががらりと変わってきたりという具合に、気持ちと成長の掛け合わせは、正に人間スクランブルです。それぞれの絵画人生の分だけ、絵画の豊かさがあるということなのでしょう。
小さくとも、出てきた成果をしっかり自信に繋げていきましょう。高望みばかりしていると、苦労や忍耐ばかりに感じられます。自分のために、コツコツ練習することが大切です。